大学生になると論文を書く機会も増えますが、はじめての方は
- そもそも論文って何?
- 論文の構成に決まりはあるの?
- 論文の書き方がわからない!
と疑問だらけですよね。論文とは「あるテーマに沿った仮説を検証した研究の結果を報告した文章」を指します。それはレポートや作文とは別物です。
論文の書き方は学術分野によって異なりますが、分野を超えて共通している押さえるべきポイントもあります。概要→はじめに→先行研究→本論→評価→まとめ→参考文献がほぼすべての論文に当てはまる流れです。
論文の読み方にもコツがあります。「概要」と「まとめ」をまず初めに読むこと、似たテーマの論文は連続で読むなどのコツがあるのです。
ちなみにダメな論文にも共通点があります。ダメな書き方が1か所でもあったら教授に厳しく指摘されるでしょう… 現役大学院生が論文とは何か、論文の書き方・読み方、ダメな論文の特徴についてわかりやすく解説していきます。
「卒業論文の書き方全般を0から知りたい!」という方はこちらの記事もご覧ください!
論文とは?
「論文とは?」という問いに答えるのは実はすごく難しいことです。なぜなら「学術分野によってその意味が違う」から。しかし広くいえば「論文とは、あるテーマに沿った仮説を検証した研究の結果を報告した文章」です。英語では「paper」「thesis」「essay」といいます。
論文は筆者の「主張」を書くだけでは成り立ちません。興味関心のあることを「テーマ」として設定し、テーマの内容や結論を予測した「仮説」をたてて、仮説が正しいかどうか「検証」した内容をまとめることで論文は完成します。文系でテーマをどうするか悩んでいる方はこちらの記事も参考にしてみてください。
論文の書き方
論文の書き方も学術分野によって異なるので「これだ!」という形式はありません。しかしどんな学術分野の論文でも大まかには以下のような流れで構成されます。1つ1つ詳しくみていきましょう。
- 概要
- 導入
- 先行研究
- 本論
- 評価
- まとめ
- 参考文献
1, 概要
概要とは、論文全体を数百文字でまとめた内容を指します。初めてあなたが書いた論文を読む人は、まず初めに概要に目を通し興味ある分野かそうではないか、おもしろそうかおもしろそうじゃないかを判断します。先行研究~まとめ・結論まですべて含めて簡潔に書きましょう。
2, 導入
導入では、筆者がこの研究を通して解決すべき問題の背景やその問いの重要性を説明します。この研究を通して何を明らかにしたいのか、なぜこの研究をしようと思ったのか、この研究は社会的にどのような意義を持つのか、などを導入では書きましょう。
3, 先行研究
先行研究では、あなたが研究するテーマに関連する既存の研究とそれらの問題点、未解決点を取り上げます。先行研究はあなたが目標とすべきラインであると同時に超えるべきラインでもあります。先行研究は称賛するだけでなく批判的視点をもって記述することが大切です。
4, 本論
本論ではあなたが論文を通して提案することの概要と、それを検証した方法を具体的に記述します。「仮説」を明確に示し正しく「検証」したことを読む人に伝えるために、できる限り詳細に丁寧に書きましょう。
5, 評価
評価は、本論で検証したことがもともとの仮説をどの程度解決したのか、先行研究の問題点をどの程度乗り越えられたのかを評価し考察するパートです。当初の仮説の検証が失敗しても成功しても誠実かつ客観的に評価を行いましょう。
6, まとめ
本論文の成果を分かりやすくまとめる部分です。ここではあなたが書いた論文では乗り越えられなかった問題点や課題も記載し「私はここまで明かすことができたが、ここは分からなかった、次の人よ頼む!」と未来へのバトンを渡しましょう。もしあなたが同じテーマでさらに研究を深堀するのであれば、そのバトンを受け取るのは未来のあなたです。分かりやすく誠実に書きましょう。
7, 参考文献
参考文献はあなたが論文を執筆するうえで参考にした書籍や論文、オンライン上のページ、新聞記事などを指します。参考文献に載せずに文章を引用するのは盗みです。必ず参考にした文章は調べる段階からまとめ論文の最後に載せましょう。
卒論 参考文献の書き方をわかりやすく解説!文字数・書き忘れない方法など
論文の読み方
あなたが論文を書く前に必ずしなければならないのは「先行研究が書かれた論文を読む」ことです。関連する論文をいかに多く読んだかと、あなたが書く論文の質は比例すると言っても過言ではありません。ここでは論文を読むうえで気を付けたいことを紹介します。
まずは「概要」と「まとめ」を読む
論文を読むときは、まず初めに「概要」と「まとめ」を読みましょう。概要とまとめを読めばその論文の方向性と結論・課題はだいたいわかります。ここに興味関心が持てることが書かれていたら本文に進んでみましょう。
批判的な眼差しをもつ
先行研究にも間違いはあります。穴もあります。論文だからといって内容を鵜呑みにすることなく常に「批判的なまなざし」をもって読んでいきましょう。
似たテーマの論文を連続で読む
似たような論文を連続で読むのもおすすめです。似ている論文を複数読んで比べることで、細かな違いや共通点が浮き彫りになります。いくつも連続で読むことで知識も定着していくので、苦しさも減るでしょう。
重要な点は目印を
読む論文全てを完璧に読もうとするととても疲れます。5割~8割くらいの力で軽く読み進め、気になるところがあったらマーカーでラインを付けるなどして、あとで振り返ったときにすぐ重要な箇所がわかるようにしましょう。
論文はオンライン上でも手に入る
論文は大学に所属している場合は信頼できる先生や先輩にもらったり、図書館で借りたりすることもできます。しかし在野で研究している場合はそれが難しいこともあります。オンライン上で論文が調べられるGoogle ScholarやCiNiiを使って興味関心ある分野の論文を探しましょう。オンライン上でダウンロードできるものが最近では増えてきましたが、ダウンロードできない場合は検索結果をもとに取り寄せたり近くにある場合は施設に足を運んだりしましょう。
ダメな論文の特徴
全ての学術分野で「ダメな論文」はだいたいで同じ特徴を持っています。ダメな論文の書き方については別記事で後日詳しく解説しますが、ここではまとめたリストだけ掲載します。
- 自己満足の文章
- ポエム化した文章
- 全体の表記が統一されていない
- 主観的
- とても一文が長い
- 文体が「です」「ます」もしくは統一されていない
- 図表で示したほうがいいものが文章のまま
- 参考文献や論拠が漏れている
- まずは研究計画書を書いて内容を整理してから論文を書く
まとめ-まずは先行研究を読むことから始めよう!-
論文ははじめて書く時が一番大変です。予想以上にルールやマナーが多くくたびれてしまうでしょう。しかし決まりごとが多いのは全ての人が公平に論文を評価するために大切なことです。私のおすすめは「特に興味関心が近く、かつ読みやすく分かりやすいお手本を1つ見つけて書き方を真似する」ことです。先人たちの論文を参考にしながら満足いく論文を書きましょう!
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参考文献