授業課題や入試で課されるレポートは、情報を整理し、自らの分析や考察を交えて他人に考えを伝えることが目的です。そんなレポートは、「書き出し」、つまりレポートの書き始めがとても重要です。
なぜ、書き出しが重要なのか。それは、読者の興味を引きつけ、内容に関心を持ってもらう部分であり、書き出しがつまらなければ、「きっと以降の内容もつまらないだろう」と思われる部分だからです。
逆に言うと、川端康成の有名な小説の書き出し「国境を抜けると、そこは雪国であった」のように、優れた文章の書き出しは永久に語り継がれるものであるように、優れたレポートは書き出しが優れているのです。
そこで本記事では、優れたレポートの書き出しを書くためのポイントと、具体的な方法についてわかりやすく解説します。
レポートの書き方については、以下の記事でも解説しています。あわせて読むことで、レポートの質が全体的に向上します。
レポートの書き方 完全ガイド-形式や構成、大学生が押さえるべきポイントを徹底解説-
レポートが書けない!そんな大学生のあなたにおすすめの5つの方法
レポートの書き出しのポイント1:読者の興味を引く
レポートの書き出しのポイント1は、「読者の興味を引く」です。
レポートの書き出しは、読者の興味を引くための第一歩です。興味を引かなければ、読者は続きを読む動機を持たないかもしれません。興味を持たれなければ、せっかく頑張って書いたレポートも最後まで読んでもらえないでしょう。
レポートの書き出しで読者の興味を引くためには、以下の方法が効果的です。
- 興味を惹く事実や統計データの提示: レポートのテーマに関連する新たな事実(一般的に知られていないけど、実は〇〇みたいな内容)や、最新の統計データを紹介することで、読者の関心を引きます。読者の感覚と科学的な事実などの「ギャップ」を示すことが効果的です
- 問いかけ: 読者が関心を引く「問いかけ」を用いることで、読者が自分自身の考えと照らし合わせながら読み進める刺激を与えます。例えば、TVの通販番組で用いられる話法「皆さん、最近〇〇できていますか?」などは、レポートではありませんがその代表例です。人間は問いかけられることで、自分事として考えるようになります。
- エピソードやストーリー: レポートのテーマに関連するエピソードや実際の事例を交えることで、読者の興味を引きつけます。例えば、「昨日、犬の散歩をしていたときのこと・・・」「20世紀前半、第一次世界大戦中のヨーロッパで・・・」など、具体的な文言から始めると、なんだろう、なんだろうと興味を引かれます。
レポートの書き出しのポイント2 レポートの目的と重要性の明示
レポートの書き出しのポイント、2つ目はレポートの目的と重要性の明示です。書き出しの段階で、レポートの目的とその重要性を明確に伝えることによって、「なぜそのレポートを読むべきなのか」「どのような点にレポートを読む意味・意義があるのか」を伝えることができ、読者の関心を引き続けることができます。
具体的には、以下のような点を意識することでレポートの目的と重要性を明示してみましょう。
- テーマの背景: レポートのテーマに関する背景情報を提供し、なぜそのテーマが重要なのかを説明します。具体的には、社会の状況や政治状況、最近話題のニュースなどと関連付けることでテーマの重要性を示す方法があります。
- 課題や問題点の提示: レポートで取り扱う課題や問題点を明確に提示し、読者にその重要性を理解させます。具体的には、先行研究を参照しながら、先行研究の到達点と課題・問題点を示すことで、レポートの新規性や独自性を示すことが出来ます。
本サイトでは、卒業論文を例にテーマや目的の設定方法も解説しています。あわせてご覧ください。
卒論の「研究目的」の書き方を、博士課程大学院生がわかりやすく解説!
レポートの書き出しのポイント3:サマリーの提示
レポートの書き出しのポイント3つ目は、書き出しの最後に「レポート全体のサマリー」を簡潔に書くことです。サマリーとは「まとめ」のことで、具体的には以下のような項目を指します。
- レポートの背景と課題意識
- レポートの目的
- レポートの分析対象や分析方法
- レポートの結論と考察
これにより、読者はレポートの全体像を把握しやすくなります。全体像が把握できると、「この量だったら5分で読めるかな」「分析手法気になるな」など、安心して読み進められると同時に、興味関心あるポイントが明確になります。
レポートにおけるサマリーは、論文では「アブストラクト」と読んだりもします。以下の記事ではアブストラクトの書き方を詳細に解説しているので、参考にしてみてください。
レポートの書き出し、例文をみてみよう!
ここまでの内容を踏まえ、具体的なテーマ(環境問題におけるプラスチック使用の影響)に基づいたレポートの書き出しの例を示してみました。
世界中の海洋を汚染するプラスチックごみ。私たちは日々、その深刻な影響を目にしていますが、その背後にある真の深刻さについて考えたことはありますか?本レポートでは、プラスチック使用が環境に及ぼす影響を探求し、持続可能な解決策を考える過程を詳しく解説します。私たちの生活に浸透するこの便益の一方であるプラスチックが、地球の未来に与える脅威について、共に考えていきましょう。
例文のポイントとしては、次の点があげられます。皆さんも書く際には、ぜひ意識してみてください。
- 書き出しが長くなりすぎないようにする。
- 文頭の一文は印象に残るようにする(ここでは対象を端的に体言止めで提示)
- 「真の深刻さ」という、少し重めの言葉を使用
- 「考えたことはありますか?」=読者に問いかけて、自分ごとにする
- レポートが解説する内容を一文で提示
- 「共に考えていきましょう」と、読者をしっかりと意識した文章であることを明示
レポートの書き出しの書き方 まとめ
本記事では、レポートの書き出しの書き方について、解説してきました。
レポートの書き出しは、読者の興味を引きつけ、内容に関心を持ってもらうためにとても重要なステップです。書き出しが成功すれば、その後は問題なく読んでくれる人が多いでしょう。その意味で、レポートの書き出しは、陸上100m短距離におけるスタートダッシュのようなものかもしれませんね。
興味を引く要素を取り入れつつ、レポートの目的と重要性を明確に伝えることで、読者を惹きつけることができます。サマリーや具体例の提示も忘れずに行い、読者がレポート全体を理解しやすい状態を目指して書いてみましょう!
「この記事だけでは、書き出しの書き方わからない!」という方におすすめの本をまとめた本↓もあります。ぜひ、あわせて購入して読んでみてください。