卒業論文の書き方完全ガイド販売中!『書き方徹底解説編 目次&例文あり』
卒業論文や論文を書く際に、最後まで悩むのが「タイトル」の決め方です。タイトルは卒論のの顔であり、一番最初に人々がみる部分です。つまりタイトルが興味深ければ人は読むでしょうし、タイトルがイマイチだとせっかく良い内容でも論文が読まれません。
タイトルを考える際に多くの方が悩むのが、次のような点だと思います。
- 優れたタイトルって一体なんだろう?
- 優れたタイトルは、どうすれば探せるのだろう
- タイトルの決め方にコツはあるのか?
この記事では主に卒論におけるタイトルの決め方を解説していきますが、基本的な部分は他の論文でも同じです。ここで紹介するものは、あくまで筆者のやり方であり確固たる正解ではありませんが、ぜひ参考にしてみてください。
タイトル以外にも、卒業論文の書き方で困っている方には以下の記事がおすすめです。ぜひあわせてご覧ください。
卒業論文の書き方をわかりやすく解説-大学院博士課程学生が疑問に答えます-
卒論/卒業論文を書く前に読みたいおすすめ本14選-文系理系別有/書き方やコツがわかる-
「卒論がやばい!」あなたへ-現役大学院生からの7つのアドバイス
優れた卒業論文のタイトルとは何か?
優れた卒論のタイトルとは、いったいどのようなものでしょうか?私は次のような点が押さえられているものが、優れたタイトルだと考えています。
- タイトルだけみて論文の方向性が理解できる
- 読者に寄り添ったわかりやすいタイトルになっている
- 長すぎない&短すぎない
タイトルにおける「正しさ」は、言語圏や分野によって異なります。言語系の映画批評などの分野では、一見するとどういうことかわからないタイトルをあえてつけることで、興味関心を湧かせたりします(例えば、批評対象となる作品の鍵となる一節を、そのままタイトルにするなど)。
しかし上記のようなものを除いて、大抵は1~3に当てはまるタイトルを付けるのが良いと思います。
1についてですが、タイトルとは論文の顔です。顔だけみてどういう内容なのか、どういうことを明らかにしようとしているかがわからなければ読者は読まないでしょう。かっこいいタイトルやスマートなタイトルを付けることよりも、わかりやすさを重視してタイトルはつけるべきです。
2については、論文は多くの人が読む可能性があります。タコつぼ化した専門分野の本当に一部の人しか分からないタイトルでは、世の中に広く開かれた論文とはいえません。学部1年生2年生くらいの人でも、タイトルをみてやりたいことがわかるようなタイトルを付けると良いと思います。
3については分野によっても違いがありますが、以下の例のように短すぎるものは最近ではあまり好まれないように思います。ただ逆にタイトルが長すぎても、紙幅を食ってしまうのであまり良いとはいえないでしょう。
タイトルの文字数については、大学ごとに決まりがある場合もあるので確認してみましょう。またこのあと紹介するような方法で自分の分野の論文タイトルを確認して、それに合わせるのも良いでしょう。
論文タイトルの良い例、悪い例
上記の決まりに沿って、良い論文タイトルと悪い論文タイトルを考えてみました。
× 「「林業のまちづくりの考察」
まず初めに、こちらが悪いタイトルの例です。ここでは林業とまちづくりというキーワードが入っていますが、一体どこにおける林業とまちづくりを研究するのかがわかりません。
また全ての論文は、なんらかの考察が入っているものなので、どのように考察するのかを書く方がベターです。タイトルの長さも少し短い印象です。もう少しタイトルを有効活用したほうがよいでしょう。
○ 「農村地域の林業とまちづくり活動の関係の構造分析-岐阜県揖斐郡大野町の事例から-」
こちらが良いタイトルの例です。悪い方にはなかった調査対象地を指す言葉として「農村地域の」が最初に入っています。また、考察ではなく「関係の構造分析」としたことで、対象がかかえる関係性の構造を分析することが明確になりました。
さらにサブタイトルとして地名を挙げることで、研究対象がより具体的になりました。「農村地域の」だけではまだわかりにくいため、サブタイトルによって補った形です。このようにサブタイトルを有効に活用すると、より優れたタイトルに近づけることができます。
優れた論文のタイトルを知る方法-先輩研究者のタイトルから学ぶ-
優れた論文タイトルの決め方を学ぶのに最適な方法は、先輩研究者たちのタイトルを徹底的に分析し真似ることです。ここではそのための方法を紹介します。
先輩の卒業論文や修士論文、博士論文を参考にする
どこの大学でも、先輩たちの論文は図書館などで検索し閲覧できるようになっています。先輩たちの論文タイトルは、発表や審査をパスした合格ラインを超えたタイトルだといえます。
おすすめの方法は自分が審査で当たる教員の過去の卒業生の論文タイトルを探して分析することです。教員によってタイトルへの考え方やこだわりは違うので、より最適化したタイトルを付けるために有効な方法です。
J-StageやCiNiiで同分野の論文タイトルを分析する
二つ目のおすすめは、論文検索サイトJ-StageやCiNiiなどで同分野の先輩研究者の論文タイトルを参考にする方法です。論文タイトルは分野によって傾向が大きく異なります。
私は専門が社会学ですが、社会学の中でも教育社会学と地域社会学では、よく使われる言い回しや、あまりつかわない言い回しは異なります。こういったことは先輩研究者の論文タイトルからその傾向を読み解くことでしか分かりません。
優れた論文タイトルを見つけたら、どんどん模倣していきましょう。丸パクリはNGですが、構造を参考にするのは問題ありません。J-StageやCiNiiなど論文の検索方法については、下の記事で紹介していますので、ぜひこちらもあわせてご覧ください。
卒業論文の先行研究・参考文献の探し方-現役大学院生がおすすめする7つの方法-
卒業論文のタイトルのつけ方にはコツがある
最後に、卒業論文のタイトルの決め方・付け方のコツをいくつか解説していきます。全てのコツがひとつのタイトルで使えるとは限りませんが、論文の方向性に当てはまるものがあれば、ぜひ参考にしてみてください。
論文のタイトルは最後につける
意外と間違えている人も多いのが、タイトルは最後につけるということです。研究計画時点で仮のタイトルを決めておくのは良いですが、最終的には論文が全て書き終わってから内容に合わせてタイトルをつけるのがベターです。
タイトルに向けて論文を書いていくというよりも、書いた論文の内容を端的に説明するのがタイトルというイメージです。書く前と後では論文の中身が変わることは往々にしてあるので、タイトルはあとでつけるようにしましょう。
論文のタイトルにはキーワードを入れる
論文のタイトルにはキーワードを入れましょう。キーワードとは論文の鍵概念であったり、論文の特徴となるような言葉をここでは指します。キーワードは「」で括るなどして強調すると、読者にとってはさらにわかりやすくなるのでおすすめです。
論文のタイトル内で先行研究との比較を行う
こちらは少し高度なテクニックですが、論文を書く際、先行研究を批判的に乗り越えるような形で書くことが多いと思います。この「先行研究では○○なのに、なぜ今回の研究では××という結果が出てきたのか」という構造を、そのままタイトルにすることで読者の興味を引くことができます。
例えば、以下のようなタイトルはどうでしょうか。これまで当たり前の価値観として「住民協働=善」とされてきた構造が当てはまらない事例を扱っていることが一目でわかります。ちょっと興味をそそられませんか?この方法の場合は多少タイトルが長くなってしまいますが、文字制限がゆるい場合はこのような手法もおすすめです。
「住民協働はまちづくりの成功条件といわれてきたのに、なぜ住民協働が失敗の要因となったのか-○○町の事例から-」
それっぽいけど、当たり前の言葉はできる限りつかわない
4つ目は、分野によって評価が異なる部分ですが、私は当たり前のことやよく使われる言い回しを疑い、あえて使わないことは重要だと思っています。例えばそれは、以下のような言葉です。
- ~についての考察
- ~についての社会学的研究
- ~に関する分析
- ~に関する研究
これらは、従来はその手法が取られていなかったものに対して使うのであればタイトルに入れる意味があります。しかし、例えば社会学的な研究が当たり前のものに対して、あえて社会学的研究と入れる必要はあまりありません。このように、当たり前のように使われる言い回しや言葉を本当に使う必要があるかどうかは、考えてみたほうがよいでしょう。
最後に-論文のタイトルを決めるのは教員でも先輩でもなく、あなた自身!-
本記事では、卒業論文のタイトルの決め方・付け方について解説してきました。多面的にタイトルについて扱ってきましたが、論文タイトルを最後に決めるのは、書いているあなた自身です!教員も先輩も論文タイトルを決めるためのコツは教えられますが、誰も正解は持ち合わせていません。ぜひギリギリまで悩んで納得いくタイトルを付けて提出しましょう。