メールでアポイントメントをとり、研究室訪問の日時を決める方法をこちらの記事で解説しました。
日時も決まり、無事に研究室訪問!と、その前に準備しておくべきことがあります。
それが「研究室訪問での教授へ質問」です。
研究室訪問での質問は、研究室訪問で最も重要な時間です。
教授は、あなたがどんな質問を持ってきたのかに注目しています。そしてあなたも、大学院入学前&受験前に教授からいかに有用な情報を入手できるかで人生が決まります。
「研究室訪問でどんな質問したらいいかわからない!」
「質問したいことが多すぎて、1時間に収まらない!」
そんな皆さんに向けて、この記事では現役の国立大学博士後期課程所属の大学院生が「研究室訪問で聞くべき質問10選」を解説します。
研究室訪問以外で知ることができる情報はできる限り削ぎ落し、研究室訪問でないと聞けない質問に絞ったので、ぜひ参考にしてみてください!また個々の質問で、適宜、具体例や、なぜその質問をするのかの理由も明示しているので参考にしてみてください。
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研究室訪問で聞くべき質問1 教授の来歴
初めに聞くべきは「教授の来歴」です。大学のWebサイトに掲載された略歴やresearchmapを見ればわかることもありますが、より丁寧に略歴を聞くことによって、興味関心や指導方法、どのような学問的流れに自身が位置づくことになるのかがわかります。
例えば、ある研究分野にはAとBという研究史的な流れがあり、今日はAだったとします。しかしあなたが行いたい研究はBだったとします。この場合、この教授はBの指導方針を知らなかったり、場合によってはBをちょっと嫌っている可能性さえあります。
教授自身の来歴とともに、どのような大学で研究室で、どのような先生にな学んだのかを詳しく聞きのちのち調べることで系譜を知ることができるでしょう。これは今日の大学においても意外と重要なことです。
研究室訪問で聞くべき質問2 教授の指導方針
教授の指導方針も必ず聞くべきことです。具体的には「拘束性が強いのか」「自由放任なのか」「積極的に教えるタイプか」「聞きに来るのを待つタイプか」などです。
もしあなたがグループでの研究が苦手で個人で研究したいと思っているのに、非常に拘束性が強くグループでの研究が多い指導方針だとしたら、きっと嫌になってしまうでしょう。実際のゼミの様子やカリキュラムとあわせて、指導方針を確認することが重要です。
研究室訪問で聞くべき質問3 教授の現在の研究関心
教授の現在の研究関心も必ず確認しておきましょう。
なぜなら、あなたが憧れていた教授の研究はすでに20年前の業績で、近年はその分野を全く研究していない可能性があるからです。そうなるとせっかく、その研究がやりたくて入ったのに、的確な指導を受けられなくなってしまいます。
本や論文は古いものでも読むことができますが、研究の世界は流れが速く教授によっては毎年のように興味関心が変わる人もいるので、最新の研究動向を把握するようにしましょう。
研究室訪問で聞くべき質問4 所属学生と卒業生の傾向
研究室の所属学生の年齢、学年、研究関心と、近年の卒業生の経歴や修論博論についても確認するようにしましょう。
そして、もしこの時点で教授が口ごもったり、実は研究室の学生がほとんどいなくて修論博論を提出した卒業生もほとんどいないとしたら、ちょっと気を付けたほうがいいかもしれません。
理由は2つ。ひとつはそもそも研究関心がニッチなため研究室に入る人がいないパターン。ふたつめは、研究指導が厳しかったり問題があったりして途中離脱者が多いパターン。どちらにしてもあまり良い状況とは言えないので、他と比較することも念頭に置きつつ確認するようにしましょう。
研究室訪問で聞くべき質問5 院試について
大学院試験についても、必ず確認しましょう。
近年の動向、具体的な対策の方法、読んでおいたほうがいい文献、面接の進め方など、大学院試験概要の書類だけではわからない試験のリアルを聞くことができます。
もし当日、先輩なども紹介してもらえそうであれば絶対に紹介してもらいましょう。教授の立場では難しい試験に関するアドバイスをしてくれる可能性大です。
研究室訪問で聞くべき質問6 自身の研究へのコメント
研究室訪問に行く際は、まず可能であれば事前に研究計画書を共有しておきましょう。
そして当日、研究室を訪問した際に研究計画省に対して意見をもらうようにしましょう。研究計画書とは、いわば大学院進学後の研究に向けた決意表明で有り、こういう研究をしますという宣言です。
もしあなたが試験で結果が悪かったり、面接がうまくいかなかったとしてもとても素晴らしい研究計画書であれば教授が「この子は絶対に研究室に来てほしい!」ということで、そこに点数を大きく付けてくれる可能性もあります(点数じゃなくてもプッシュしてくれる可能性もある)。
また研究室訪問時点で意見をもらえれば、大学院試験までに変更も可能です。ギリギリまでフィードバックを踏まえて修正を重ねることで大学院試験に通る可能性は高まるので、欲張ってどんどんコメントをもらうようにしましょう。
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研究室訪問で聞くべき質問7 ゼミや勉強会について
研究室訪問で聞くべき7つ目の質問は、ゼミや勉強会についてです。
具体的には、ゼミの開催頻度、ゼミの内容、自主的な勉強会の開催や読書会の有無などです。同じ大学でも研究室によってゼミや勉強会の形式は大きく異なります。
特にゼミの人数に関しては、1年単位で大きく変動する場合もあるので、3,4年前の卒業生の情報が全然当てにならないこともあります。できる限り最新の情報を得るためにも、研究室訪問時に今後の予定とあわせて確認しましょう。
研究室訪問で聞くべき質問8 今後数年間の予定
教授の今後数年間の予定について聞くことも重要です。
具体的には、「先生は当分、この大学にいる予定ですか?」「先生は数年以内にサバティカルがありますか?」「数年以内に、大きな研究プロジェクトが始まる予定はありますか?」といった内容です。
教授が結構な年齢の場合、あなたが修士課程もしくは博士課程在籍中に定年退職する可能性があります。これは研究環境の変更を余儀なくされるので気を付けましょう。
サバティカルとは、1年間有給休暇を取得して海外の大学などで教授が研究を行う制度です。この期間は、教授が日本にいなかったり論文指導が充分にできないといったことが起こり得るので、特に修士2年の間にサバティカルが無いか確認しておくことは大切です。大きな研究プロジェクトに関する質問も、同じような意味合いがあります。
研究室訪問で聞くべき質問9 研究室や研究環境について
研究室や研究環境についても、確認しておきましょう。
大学院生一人ひとりが使える研究室や机があるのか、所属学科全体で集まれるような研究室があるのか、理系の場合は研究に必要な実験器具が整っているのかなど、これらはWebサイトやSNSではわからない情報なので、リアルな情報を手に入れるためにもしっかりと質問しましょう。
最後に-研究室訪問で聞くべき質問10 入学した場合に受け入れてもらえるか-
この記事では研究室訪問で聞くべき10の質問を解説してきました。
最後に10個目の質問です。それは「もし、私が大学院試験に合格した場合、先生は私を受け入れてくださいますか?」という質問です。
研究室訪問とは、言ってしまえばこの質問に対する「いいですよ」という答えをもらうためにいくようなものです。しかし、実は多くの大学院進学予定者が、この質問をせずに帰ってきてしまいます。
研究室訪問で丁寧に質問に答えてくれること=大学院入学後に受け入れてくれることではありません。研究室訪問をしたら、最後に必ずこの質を投げて受け入れてもらえることを言葉で聞きましょう。