卒業論文の書き方完全ガイド販売開始!シリーズ1冊目は『卒論を書く前に知っておきたい6つのこと』
卒論を控えた大学3年生4年生は、口酸っぱく教員から以下のように言われていると思います。
「卒論におけるコピペは絶対ダメです!」
「コピペがバレると、卒業できません」
コピペがいけないことだと分かっていても、心のどこかで「でも、少しならバレないのでは?」と思っている人はいませんか?また「なぜコピペがいけないのか」「何がコピペにあたるのか」イマイチ理解できていない人もいるかもしれません。
そこで今回は、現役の博士課程大学院生が論文執筆とコピペをめぐる様々な疑問にお答えしていきます。出来心のコピペで一生損をしないためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
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なぜ卒論でコピペなのか
一般的にコピペと言われていることは、専門用語では剽窃といいます。
剽窃とは、既存のデータや語句、文章、考え方などを、その著作者名を示さずに勝手に使ったり提示したりする行為すべてを指します[野村, 2017]。
わかりやすい言葉でいうと、他人が書いた文章やデータを「自分が考えて書いたもの」かのように使うことです。これは強盗や万引きと同じ盗みであるため、盗用とも呼ばれます。
卒論のコピペはなぜバレる?バレない方法はない× 最近では教員のチェックの強化
コピペはダメと知りつつも、「多分、バレないだろう!」と思っている人は多いかもしれません。しかし私の経験上、コピペはほぼ確実にバレると思ったほうがいいです。もし過去にあなたがコピペしてバレていないと思っていても、それは教員が気づいていても黙っているだけでしょう。
なぜコピペはバレるのでしょうか?その理由は主に宇以下の3つです。
一つ目の理由は、コピペチェック機能が進んでいるためです。昔であればバレなかったコピペも今日では各大学に導入されるコピペチェックのためのソフトなどで簡単にバレてしまいます。
知り合いの教授も「学生のレポートでコピペを見つけちゃった…」と言っていたことがあります。コピペしたものは一瞬で分かるので注意しましょう。
二つ目の理由は、コピペした文章は明らかに語句や文法が違うためです。特にこれは学部生のレポートで起こりがちですが、レポート内の他の文章や過去にあなたが書いた文章とは違うためコピペがバレます。細かい言い回しを修正したとしても、全体のニュアンスや文章の構成で気が付きます。
三つ目の理由は、特に論文を学会誌に投稿する場合に起きますが、コピペされた本人が文章を読むケースがあるためです。同じ分野の研究者であれば、あなたが書いたものを読む可能性はとても高いです。本人であれば多少言い回しを変えていてもコピペしたことはわかるでしょう。
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コピペと引用の違いは何か
コピペと引用の違いは「出典元が記載してあるかどうか」です。出典とは、引用した文章の最後に書いてある[佐藤, 2021]のような記載と、論文の最後の文献リストに書いてある「佐藤, 2021, 本や論文の名前, 出版社名, ページ数」のような記載です。
これが漏れなく書いてあれば引用となります。一方で漏れがあったり、意図的に引用元を書かない場合にはコピペとなります。面倒ですが、必ず出典は記載するようにしましょう。
【あわせて読みたい】卒論 参考文献の書き方をわかりやすく解説!文字数・書き忘れない方法など
どこまでがコピペにあたるのか
コピペを厳密に定義することは難しいですが、以下にリスト化したようなことは多くがコピペとなります。注意しましょう。
- 他人が書いた文章をそのまま引用しているのに、出典情報を書いていなかったり引用符「など」で他人が書いた文章であることをがわかるようにしていない。
- 他人が実験して得たデータを、あたかも自分のデータかのように勝手に使う
- 他人の文章からアイデアを得て一部書き換えた文章なのに、出典情報が書いていない
- 他人のアイデアなのに、出典情報が書いていない
「卒論が、どうしてもコピペになってしまいます!」という相談への回答
ここまでコピペがなぜいけないのか、なぜコピペがバレるのかを解説してきました。しかし中には、こんな風に思っている人もいるかもしれません。
「コピペにならないように書きたいけど、先行研究を読んでいるとそのまま使いたいものばかりで… 自分が書いた文章よりもうまくまとまっていて読みやすいのでコピペしたいです。」
これは正直な気持ちだと思います。しかしコピペはしてはいけません。そこで以下では、コピペにならないための正当な学術的手続きをご紹介します。
参考文献・引用文献を漏れなく書く
コピペを防ぐために重要なのは参考文献/引用文献を漏れなく書くことです。数ページに及ぶような膨大な引用はあまりよくありませんが、数行の引用であれば漏れなく文献を記せば問題ありません。
他人の文章を引用することが問題なのではなく、いけないのは「自分があたかも書いたかのようにみせること」です。引用箇所に引用文献を明記する・論文最後の参考文献にもれなく文献をリスト化する、これさえやっておけば問題ありません。
詳細な参考文献の書き方についてはこちらの記事で解説しているので、気になる方はあわせてご覧ください。
卒論 参考文献の書き方をわかりやすく解説!文字数・書き忘れない方法など
カギカッコや段落下げで引用した箇所をわかりやすくする
引用した場合、参考文献を明記するのと同時に引用した箇所をわかりやすくすることも大切です。カギカッコで引用箇所をくくる・段落をずらして書くなどがコピペを防ぐためにできる工夫です。
たまに「引用文章が長すぎて怒らるのではないか」と相談しに来る人もいますが、正当な手続きを踏んであれば多少長くても問題ありません。何度も書きますが、引用自体は何も悪いことではないのです。
孫引きにご注意!自分の目で原典を確認しよう
孫引きとは、原典を直接引用せずに、他の論文や書籍で引用された文章をそのまま用いることを意味します。
論文やレポートで引用する文献は、基本的に必ず元の論文を自分の目で確認しなければなりません。引用の中には、引用者が意図的に文章を一部変えてわかりやすくしていたり、引用時に間違えているケースがあります。その場合、孫引きをするとそのまま自分も間違えた情報を載せてしまうことになるんです。
文章に限らず、文献や図表も原典にあたらず引用した場合には孫引きとなります。そしてこの孫引きも、引用元を示さず記せばそれはコピペにあたります。できるかぎり原典を自分の目で確認するようにしましょう。もし確認できない場合は、引用元と、引用元の引用元の2つを書きましょう。
孫引きについてはわかりにくい部分が多々あると思うので、ぜひこちらの記事もあわせてご覧ください。
【あわせて読みたい】孫引きとは?-意味や書き方、レポートや論文で気を付けたいポイントを解説-
最後に-思わずコピペを防ぐためのチェックリスト-
本記事ではコピペをしてはいけない理由や防ぐ方法を解説してきました。ここまで読んで「じゃあ一体、どうすればいいの!?」と思った方もいるはずです。
最後に、コピペしないために押さえるべきポイントをチェックリストにしました。論文やレポートを書き終えたら、ぜひこのチェックリストに沿ってミスがないか確認してみてください。
- 他の人の表現を使った場所には、全て出典情報を書いてあるか
- 参考文献/引用文献リストに出典情報が全て書いてあるか
- 過去の自分の文章も出典情報が書いてあるか
- 他人の許可を得て引用した箇所は、許可を得たことがわかるように書いてあるか
- ネット上の文章をそのまま貼り付けていないか(Wikipediaなど, 出典は書いてあるか)
コピペがなぜいけないのか、どんなルールに沿って参考文献を明記すべきかは多くの本でも解説されています。気になる方はぜひ、以下の記事もあわせて読んでみてください。
【あわせて読みたい】卒論を書く前に読みたいおすすめ本15選-文系理系別有/書き方やコツがわかる-
卒業論文の書き方完全ガイド販売開始!シリーズ1冊目は『卒論を書く前に知っておきたい6つのこと』
参考文献
野村康 (2017)『社会科学の考え方—認識論、リサーチ・デザイン、手法』名古屋大学出版会, pp. 288-329