大学院 入試の基本情報を徹底解説!現役博士課程大学院生直伝

大学院 入試

大学院進学を考えている人が、一番心配なのは「大学院 入試」だと思います。学部の入試とは全く異なる形式で、あまり情報も入ってこないので想像がつかないケースも多いと聞きます。

そこで今回は、修士課程進学時に4大学を、博士課程進学時に1大学を受験した現役の博士課程大学院生が、大学院入試をめぐるあれこれについてわかりやすく解説していきます。入試対策や具体的な勉強方法も解説しているので、最後まで読んでみてください。

なお、本記事を書いている私は専門が社会科学系の分野です。他分野では当てはまらない部分があるかもしれないので、正確な情報は必ず自身で調べるようにしてください。

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一般的な大学院入試の日程は?

一般的な大学院では、入試は夏~秋と冬~春の2回行われます。とある文系大学院の受験スケジュールをみてみましょう。

  • 6月:大学院入試説明会
  • 8月:大学院秋季入試出願期間
  • 9月上旬:第一次試験審査結果発表
  • 9月上旬:第二次試験実施
  • 9月中旬:合格者発表
  • 1月:大学院春季入試出願期間
  • 2月上旬:第一次試験審査結果発表
  • 2月上旬:第二次試験実施
  • 2月中旬:合格者発表

この大学の場合、第一次試験では卒業論文もしくは研究計画書の提出による審査、第二次試験では面接と英語の審査が行われます。ギリギリではありますが、春季入試出願期間は1月のため、全て就職活動が終わった後に出願することも可能なスケジュールです。

一方、もし秋季に受験しようと考えた場合には、年度が替わってすぐ受験準備を行う必要があるため、学部4年生で就活も考えている人は厳しい数か月間になります

大学院入試の難易度はどのくらい?

一口に大学院入試といっても、学部生から社会人まで幅広く受験資格を認める一般入試と、ある一定の要件を満たした社会人を対象とする社会人入試に大きく分けられます。

一般入試の場合、試験内容は外国語と専門科目の筆記、研究計画書や卒業論文などの書類審査、そして面接があります。私が受験した大学院修士課程と博士課程は、どちらも倍率が3倍程度でした。

社会人入試の場合は、一般入試と比べると試験科目が少なかったり、筆記試験がなかったりと受験勉強の負担を比較的少なくする配慮がなされる傾向にあります。

一般入試と比べると倍率は低めですが、大学院入試の場合は一定以上のレベルに達しないと定員に達していなくても合格は出さないので、しっかり勉強し対策する必要はあります。

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大学院入試ではどんな問題が出る?科目は?

大学院入試では、大きく2つに問題が分けられます。1つ目は「語学」です。多くの大学院生が受験するのは、英語になると思います。2つ目は「専門知識」です。その分野の専門的な知識を有するかが筆記試験で確かめられます。

私は、修士課程受験時に4つの大学院を受験しました。いま思うと本命はひとつで他3つは受験する必要なかったなと思いますが、心配だったのとギリギリまで選択肢を残したいという思いで4つの大学院を受験しました(とてもお金がかかりました)。

いわゆるMARCHレベルの文系私立大学院の受験では、英語はA4 1枚程度の英文の和訳を2つ~3つ行いました。大学院によっては辞書の持ち込み可でした。専門知識は、単語の意味を問う問題と、専門タームを使った論述の問題が出ました。英語も専門知識も制限時間はそれぞれ60分程度でした。

旧帝大レベルの文系国立大学院の受験も、基本的に形式は上記と変わりませんでした。ただ1問1問の難易度は高く、英語はもちろん辞書の持ち込みは禁止、専門知識を問う問題のレベルも高かった覚えがあります。

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大学院入試の勉強方法

大学院で後輩や受験生の相談に乗っていると、最も多いのが「受験勉強はどうやってやればいいですか?」というものです。大学院や入試形態、その人の得意不得意によっても異なりますが、ここでは私の経験と一般的な方法を混ぜて最適だと思う方法を紹介したいと思います。

専門科目試験の勉強方法

専門科目試験の勉強では、自身の専門分野における有名な基礎学習書を何度も繰り返し読んで、単語の意味や背景、関連する研究者名を理解しましょう。例えば、社会学では有斐閣の『社会学』という本がスタンダード。これにプラスして、理論を解説した本・方法論を解説した本などを読んで勉強することで、網羅的に基礎的な知識を身につけられます。

同時に、志望する大学院や同等の他大学院から過去問題を取り寄せて、何度も過去問題を解きましょう。3年分以上ある場合には、問題の傾向も掴めてくるので勉強の範囲も絞れるかもしれません。

英語試験の勉強方法

英語の勉強方法は単純です。まず大学院受験で必要なレベルの英単語をコツコツと覚えます。同時に、各分野のスタンダードな英語の基礎本(日本語訳があるもの)を入手して、英語を日本語訳して、日本語版で合っているかを確かめます。

またアカデミックライティングには独特の傾向や特徴もあるので、有名な論文や書籍の一節を取りあげて読解方法や英文法を解説している本も読んで勉強してみるといいかもしれません。

具体的におすすめの英語勉強本は、記事の最後で紹介しているので、よければご覧ください。

大学院入試はどんな服装で臨めばいいか

大学院入試は、基本的にはスーツで臨むのが無難です。

ただ当時、社会人経験もなく若かった私は、受験にオフィスカジュアルのような格好で行き一応、合格しました。しかし着いた瞬間に周りが全員スーツで「ヤバい」と思った覚えがあるので、無難なスーツがおすすめです。

なお冬~春受験の場合、大学の受験会場は総じてとても寒いか、もしくは暑すぎます。おのど調整がしやすい服装で行くのがおすすめです。

大学院入試の面接

大学院入試では、ほぼ必ず面接があります。面接の時間は30分~1時間程度。どの分野、どの大学院でも大方聞かれる内容は固定化されてくるので、想定される質問に答えられるように模擬面接練習を繰り返して備えましょう。

以下は、大学院入試の面接で聞かれがちな内容一覧です。ぜひ一つ一つ答えられるように準備しておきましょう。

  • 研究計画を簡単に説明してください。
  • 学部での勉強内容や卒業論文の内容を教えてください。
  • なぜ、うちの大学を志望したのですか?
  • なぜ、○○先生の研究室を志望しているのですか?
  • 大学院終了後の、進路について考えていることはありますか?
  • なぜ、この分野の研究がしたいのですか?
  • 研究計画書で○○という概念が登場しますが、詳細に教えてください。
  • この研究であれば、他にも○○大学という選択肢も思い浮かびますが、そちらはどう思いますか?

大学院入試の対策方法

大学院入試の対策方法は入試形態によって様々です。ここでは、できる限り多くの分野に共通する対策方法をご紹介します。

研究室訪問でつながりをつくる&ポイントをつかむ

文系理系を問わず、大学院入試を考えている学部生の多くは研究室訪問をすると思います。研究室訪問とは、事前に希望する指導教授と会い研究や学校生活について意見を交わす機会を指します。

研究室訪問をしている人としていない人では、大学院入試の有利度は変わってくる部分があります(中には研究室訪問必須の大学院も多くあります)。

研究室訪問をしていれば、教授から過去の受験の動向を知れたり、対策方法も教えてもらえるかもしれません。また、研究室訪問日に先輩がいれば、先輩と繋いでもらいより深く話を聞くこともできるでしょう。

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大学院説明会に参加して、個別相談時間を有効活用

大学院では、年に数回、大学院進学を考えている人向けの説明会が開催されます。この説明会では、入試の際に押さえておくべきポイントを聞けたり、先輩や教授に直接相談できる時間があったりします。

これは個人的な経験に基づきますが、私は大学院説明会で行われた先輩との個別相談時間に「どうやって大学院入試の英語は勉強すればいいですか?」と質問し、「僕は○○っていうテキストを使ったよ」と、とても具体的な回答をもらえました。結果、そのテキストで勉強して受かったので、大学院説明会での個別相談時間は、とても役に立ちました。

入試要項・求める人材像・学科の特徴などを読みこむ

たまに、大学院の入試要項や学科の特徴をしっかり読まずネームバリューや学部の偏差値だけで判断して入試を受ける人がいますが、これは絶対NGです。

まず大学院は偏差値でそのレベルを図ることはできません。ネームバリューや偏差値ではなく、大学や学科の特徴を調べ読み込んだうえで志願先を選びましょう。

また入試要項には、意外と重要なことが書かれています。例えば研究計画書の書き方について「図や表を用いてわかりやすく表現しなさい」と書かれていたら、これは図や表を使えと受け取って間違いありません。他にも、細かな指示が記されているので、これらを押さえていないと書類審査の段階で落とされる可能性があります。

希望指導教員の業績・同分野の先行研究を押さえる

大学院の二次試験では、多くの大学院で面接があります。面接では、ほぼ必ず「研究計画」について聞かれます。

研究計画は自分の考えだけで答えればよいものではなく、主要な先行研究を押さえながら伝えることが重要です。このときに、その分野の主要な先行研究や、密接に関連する希望指導教員の名前が出てこなければ「あ、この人は先行研究をしっかり押さえていないな」と思われるでしょう。

先行研究を押さえることは、研究の基礎の基礎であるため、これができていないと研究者としての素質は疑われます。指導教員の業績は「なぜ、この大学院がいいのか」「なぜ、この先生のもとで学びたいのか」という質問とも関連するので、読めるものは全部読んでおきましょう。

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模擬面接練習を行う

就職活動で面接慣れしている人は問題ないですが、面接で緊張してしまい落ちる人は必ず一定数います。

大学院入試における面接の内容は、だいたい予測することができるため、事前に友達や教授にお願いして模擬面接練習をしておきましょう。何度も人に話すことで、本番でもスラスラ言葉が出てくるようになります。

最後に-大学院入試対策のために読んでおきたい本をご紹介!-

大学院 入試

本記事では、大学院入試について網羅的にできる限りわかりやすく解説してきました。本書なかでも触れた「大学院入試の英語勉強方法」は皆さん気になる部分だと思います。

そこで記事の最後に、大学院入試の英語勉強で役立つ(筆者も活用した)おすすめの3冊をご紹介します。修士入試でも博士入試でも役立つ3冊なので、大学院入試を受ける人は必ず読んで勉強しておきたいところ。ぜひ買って覚えるくらいまで活用してみてください!

院単―大学院入試のための必須英単語1800

大学院入試英語の金字塔。大学院入試の英単語勉強といえば、本書というくらい有名な単語帳です。私も、修士入試・博士入試どちらのときも活用しました。

詳解 大学院への英語

難関大学院に頻出の必須40テーマを題材とした、院入試対策問題集です。学術論文や古典から素材を得た本書は、1コンテンツごとの文量が少なめなので1日1Pのペースで院入試レベルの英文読解に取り組むことができます。

大学院入試の英文法

大学院の英語入試ではその多くが英文和訳です。選択式の問題とは異なり、記述式の和訳は英文を正しく読解できないと正解は導けません。本書を読むことで、和訳に必要な基礎的な英文法の知識を網羅的に身につけることができます。

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最後に効率よく学ぶために本を電子版で読むのもオススメです。

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Kindle Unlimited

数百冊の書物に加えて、

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などの特典もあります。社会や地域の課題を冷静に正しく分析する力は、読書や映画鑑賞などの幅広い経験から鍛えられますので、気になる方はぜひお試しください。

この記事を書いた人

管理人

某国立大学大学院博士後期課程所属. 社会科学分野での地域研究が専門. 卒業論文では地域とメディアについて取り上げ、修士論文では地方自治体で暮らす人々の人間関係を取りあげました。大学院で研究して論文を書いたり、各種媒体に寄稿したりしています。