アブストラクト(要旨)とは?意味
アブストラクト(要旨)とは、研究の背景、方法、結論などを数百文字程度でわかりやすくまとめた論文の概要です。
アブストラクトの役割は、論文全部を読まなくても内容が把握できるようにすることです。1日に何本も論文を読む場合、全部読んでから「この論文、あまり役に立たなかった~」と思いたくないですよね。そうならないようにアブストラクトを読んでおもしろそうだと思ったら、本文を読む研究者が多いです。
裏を返せば、論文の中身がどれだけ良くてもアブストラクトがつまらなかったり読みづらいと読んでもらえない可能性があります。「論文で最も大切なのはアブストラクトだ」と言っても過言ではありません。
アブストラクト(要旨)は、どこのことか
アブストラクトは通常、3つのパターンにわかれます。
- 日本語で論文の最初に書くパターン
- 英語で論文の最初に書くパターン
- 日本語もしくは英語で、論文の最後に書くパターン
ここでは実際の論文を参照しながら、アブストラクトの位置を確認してみたいと思います(地域系の論文をいくつか参照させていただきました)。
↑この論文は①のパターンです。タイトルと名前の下に書いてある文章がアブストラクトです。
↑これは②のパターンです。最近では英語でアブストラクトを書くジャーナルが増えているように思います。
↑これは③のパターンで、論文の最後に英語でアブストラクトを書いています。アブストラクトを読みたいなと思ったときは、最初だけでなく最後も確認するようにしましょう。
アブストラクト(要旨)の書き方
アブストラクトの文字数はジャーナルによって異なります、通常、アブストラクトの単語数は論文全体の1割程度と言われることが多く、200文字~400文字程度が相場です。アブストラクトは、長く書けば良いものではない点を、まずは押さえておきましょう。
アブストラクトに決まった形式はありませんが、よく言われるのは構造化要旨(Structured abstracts)と、非構造化要旨(Unstructured abstracts)の2種類があるというものです。構造化要旨の場合は、以下のように項目の構成がハッキリしているので、これに当てはまるカタチで書けそうな場合は参考にすると良いと思います。
構造化要旨のアブストラクト
- 背景:研究テーマに関する最新の情報やキーワードを記載し、読者の興味を喚起
- 目的:研究の対象とそれに取り組む理由、研究によって実現したいゴールを記載
- 方法:研究内容に関する簡単な説明を記載
- 結果:研究によって得られた結果、発見や所見を記載
- 結論:仮説に対する結論や継続研究の有無を記載
アブストラクトは、はじめからうまく書けるものではありません。論文を全て書き終わったあとに何度も何度も推敲して完成させましょう。そのためにも、論文執筆時は「アブストラクトを書く時間」を余裕をもってみておくことが大切です。
書く上で注意すべき点は以下の通りです。ぜひ参考にしてみてください。
- 本当に重要、必要な情報のみを書く
- 核となるキーワードを盛り込む
- 読みやすさを意識する(専門外の人でも理解できるように)
- 本文が完全に完成してから書く
- 必ず、提出前に他の人に確認してもらう
- 絶対に文字数をオーバーしない (短すぎるのもNG)
英語でアブストラクトを書く場合
英語で書く場合は、慣れないうちは日本語で一度全て書いたのち、英語に訳していくのがよいでしょう。自力で訳していくのが難しい場合は、DeepLなどを有効活用してベースとなる英文を推敲していくのがおすすめです。
アブストラクトなど論文の書き方を学ぶのにおすすめの本
他にも論文の書き方を解説した本は多数あります。こちらの記事もあわせてご覧ください。
論文を書く前に読みたいおすすめ本14選-文系理系別有/書き方やコツがわかる-