「大学院に進学したいけど、一体どのくらいの人が進学しているんだろう?」大学院進学を考えたことがある人なら、1度は思ったことがあると思います。
おかれている環境によっても大学院進学率の体感は違うと思います。例えば、あなたが旧帝大の理系学部にいるとしたら周囲の大学院進学率は高く感じるかもしれません。一方、あなたが地方私立大学の文系にいただ大学院進学者はとても少ないかもしれません。
以下は、本記事で解説する大学院進学率に関するデータの抜粋です。
- 大学院修士課程修了者の進学率は近年、減少傾向
- 大学院博士課程の入学者数は、2003年度をピークに減少傾向
- 理系は大学院進学者数が多く大学院進学割合も高い
- 文系は大学院進学者数が少なく大学院進学割合も低い
- 2021年度大学院在学者は25万7千人で、前年度よりも3千人増加
- 世界で最も大学院進学率が高い国はフランス、日本は29位
本記事では、現在、大学院博士課程に所属する筆者が大学院進学率に関する基本情報をわかりやすく整理してお伝えします。大学院進学を考えている方、またその親御さんはぜひ参考にしてみてください。
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大学院進学率はどのくらいか、低下しているor増加している?
文部科学省の学校基本調査によれば、日本には国立の大学院が86校、公立の大学院が86校、私立の大学院が480校あります。
大学院進学率は、修士課程と博士課程で微妙に異なる傾向にあります。
科学技術・学術政策研究所レポートによると、大学院修士課程入学者数は、2018年度時点で7.4万人です。2010年をピークに減少傾向にありましたが、2015年度から再び増加傾向にあります。
しかし、大学院修士課程修了者の進学率は近年、減少傾向にあります。2018年度の割合は9.3%でした。
大学院博士課程の入学者数は、2003年度をピークに減少傾向にあります。2018年度の入学者数は1.5万人でした。2017年度と比較すると0.9%増加していますが、これは工学系の数が多いことに起因しています。
以上のことから、大学院進学者数は増えているとはいえず、全体としては減少成功にあります。今後、政府の支援策などが拡充されれば増加する可能性もありますが、どうなっていくでしょうか…
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大学院進学率に理系・文系で差はあるのか
大学院進学率に、理系・文系など分野ごとの差はあります。
文部科学省令和元年度 学校基本調査によれば、理学・工学・農学・商船などの分野で大学院進学率が高い傾向にあります。理学が約7千人、農学が約4千人なのに対して、工学は一分野で約3万人の進学者がいます。
大学院進学者数が少ないのは、人文科学・社会科学・教育・芸術などの分野でです。人文科学や社会科学は全体の学生数はとても多いですが、割合は極端に低いです。
以上のデータから、理系は大学院進学者数が多く大学院進学割合も高い、文系は大学院進学者数が少なく大学院進学割合も低いということができます。
世界をみてみると大学院進学率はどのくらいか
世界の大学院進学率は、一体どの程度なのでしょうか?ここではOECD(Organisation for Economic Co-operation and Development )を参照していきます(データは2018年のものです)。
世界で最も大学院進学率が高いのは、フランスで38.73%です。フランスの大学院といえば、進学率も進学者数も多い分、競争率も高いことで知られています。しかしこのような高い進学率だからこそ高い学術的水準を維持し続けられるといえるでしょう。
フランスの大学院事情は、こちらの漫画『博論日記』でリアルに描かれています。とてもおもしろく役に立つので、ぜひ読んでみてください。
大学院進学率2位はポーランド、3位はスロベニア、4位はベルギー、5位はスロバキアと上位の多くはヨーロッパの小国が占めています。まだ日本は出てきません。
7位にロシア、10位にイタリア、12位にドイツ、24位にイギリス、28位にオーストラリアが入り、日本は29位という結果になっています。なおアメリカは30位、韓国は31位ということで、日本の大学院進学率はオーストラリアやアメリカ、韓国と同水準だとわかります。
この値をみて高いと感じるか低いと感じるかは人ぞれぞれですが、皆さんはどう感じるでしょうか?
大学院 進学率 2021年・2020年の割合は?コロナの影響はあった?
2021年度、文部科学省の学校基本調査から、最新の大学院進学率事情をみていきましょう。まず、大学全体の在学者数は291万8千人と、前年度よりも3千人増加しました。
そのうち大学院在学者は25万7千人で、前年度よりも3千人増加しました。しかしこの在学者数は、過去最多ではありません(学部は、2021年度、過去最多を更新しました)。
最後に-大学院進学率などのデータも進学を考える際にはとても大切-
本記事では、大学院進学率をめぐるあれこれについて解説してきました。記事の要点をまとめると以下のようになります。
- 大学院修士課程修了者の進学率は近年、減少傾向
- 大学院博士課程の入学者数は、2003年度をピークに減少傾向
- 理系は大学院進学者数が多く大学院進学割合も高い
- 文系は大学院進学者数が少なく大学院進学割合も低い
- 2021年度大学院在学者は25万7千人で、前年度よりも3千人増加
- 世界で最も大学院進学率が高い国はフランス、日本は29位
大学院進学を考えている皆さんは、受験の難易度や大学の偏差値だけでなく複合的な要因を踏まえて客観的にそのメリットデメリットを判断することが必要です。本サイトでは、他にも大学院進学に関連する記事を多数掲載しているので、ぜひ読んでみてください。